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SCAR WARS -ケロイドとの戦い-

Episode.01 ケロイドとは/ケロイドはなぜできる/ケロイド体質/ケロイド悪化因子

ケロイドの定義や、それとは区別される肥厚性瘢痕などについては、いろいろなHPで紹介されているので省略しますが、ケロイドは、見た目の問題だけでなく、痛みや痒みがあり、現在知られている薬には、これらの症状に対してあまり効果がないようです。また、できる場所によっては、体の動きが制限されます。私のように、腹部に縦長のケロイドができると、ケロイドのコラーゲンの硬い塊が邪魔して体を伸ばすことができません。関節部であれば、関節を曲げることができなくなります。
ケロイドの中でも「真性ケロイド」はこのコラーゲン産生が止まらず、増殖を続けて皮膚上に拡がって行く、とされていますが、私がこれまでに出会った医師や研究者で、真性ケロイドを見た人はいません。
ケロイドは悪性化することは少ないといわれていますが、熱傷(やけど)がきっかけの場合はガン化することがあるといわれています。

ケロイドは人間にしかできません。動物にはできないため、研究を行うのが非常に困難です。ある種のイルカの鼻先にできる傷痕がケロイドに似ている、などという報告もありましたが、実際には違うものでした。仮にヒトのケロイドに近いものだとしても、イルカ相手では研究ができません。

「ケロイド」とは、大雑把にいうとコラーゲンの塊です

コラーゲンは、体を構成する重要な蛋白の一種です。ある程度以上の深さの傷(真皮の3分の2以上の深さといわれている)ができると、コラーゲンが緊急事態に対応して大量生産され、傷を埋めます。ところが、この大量生産が行き過ぎると、必要以上のコラーゲンが作られ、元の傷の範囲を超えてコラーゲンの塊を作ってしまうのです。この塊になった状態のものを「ケロイド」といいます。

皮膚侵襲の深さとケロイドの発生

ケロイドはなぜできるか

ケロイドができる理由はまだ分かっていません。傷の治りが遅いとケロイドができやすい、という意見もありますが、確かな統計や証拠はありません。私自身の場合、手術後の傷の治りは担当医も驚くほど非常に早かったにもかかわらず、ケロイド(より正確には肥厚性瘢痕)ができました。コラーゲンの過剰産生(造り過ぎ)がケロイドになるわけですし、コラーゲンを含めた蛋白合成を抑えるステロイド剤が、ケロイド発生をある程度予防できる場合もあることを考えると、傷の治りが早いほうがケロイドになりやすい気がしますが、確かな証拠はありません。

ケロイド体質

ケロイド体質というものがいわれますが、私を含めてケロイドや肥厚性瘢痕ができやすい人が確かにいるようです。ケロイドは人種によってできやすさが異なり、白人種には少なく、黒人種に多く、黄色人種はその中間だといわれています。肌の色とケロイドに関係がありそうに見えますが、メラニン細胞やメラニン色素とケロイドの発生には関係がないという研究報告が多く出されています。日本人の中でも色白の人はケロイドができにくいのかというと、必ずしもそうではなく、単純な肌色の差の問題ではなさそうです。

同じアジア人でも日本人より韓国人のほうがケロイドが多いという話を、熱傷治療の世界的大家であり、私のケロイド研究の師であった大矢英次郎博士(おおやひでじろう;故人)からうかがっています。これは民族の違いより、食事の違い、すなわちニンニク多食に原因があると博士は推定されていました。ちなみに、大矢博士によると、ニンニクの臭いの元であるアリシンの誘導体を有効成分とする栄養剤が日本でヒットしてから、それ以前と比較して日本人のケロイドが増えたという話です。なお、現在この栄養剤には改良が加えられ、アリシンは使われていないようです。

ケロイドの悪化因子

唐辛子・ニンニク・カレー

ケロイドの痛みや痒みは血流増加によって悪化します。したがって、血行をよくするものはケロイドには悪いと考えられています。
具体的には、飲食物では唐辛子やニンニク、カレーなどの刺激物、アルコール飲料などです。確かに私自身、ケロイドができていたときは酒を飲むと非常に痒くなりました。
入浴も血行を促進するためにケロイドの悪化因子と考えられそうですが、必ずしもそうではないようです。というのは、前述の大矢博士の患者に、やけどのために背中にケロイドができた、ある信用金庫の支店長がいて、博士は入浴を禁止しました。しかし、風呂好きのその支店長は博士の指示に従わず、こっそり毎日熱いシャワーを浴び、ときどき入浴もしました。ケロイドが良くなっていったので、治療と入浴禁止の効果があったと思っていた博士に、その支店長が入浴していたことを話しました。博士は血行促進がケロイドを悪化させるという説を、この事実によって撤回せざるを得ないと考えました。痛みや痒みなどの症状が悪化することと、コラーゲンの塊であるケロイド自身が悪化すること、すなわちコラーゲンの産生が更に進むことは、必ずしもイコールではないのかも知れません。

私自身、ケロイドがありながら飲酒も入浴も行い、痒みには苦しみましたが、前述の支店長の例があること、ケロイド組織内では血管が詰まり気味で(血管内皮細胞が過剰増殖して血管の中が狭くなっている)血流が不十分であるらしいこと、などから、むしろ血流増加がケロイドそのものを良くするのではないかと考え、実行しました。しかし、血流増加にケロイド改善効果があるのかどうかはよくわかりません。少なくとも、ケロイド自身が悪化したという印象はありません。私自身は、後に書く予定の、自分で開発したケロイド治療薬により、かなりよくなったからです。

その他に、妊娠中や思春期にケロイドが悪化することが知られており、性ホルモンがケロイドに関与しているようですが、ホルモン療法ではケロイドは良くならないようです。

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